損切りは防御

FXは、普通に考えれば、リスクリワードが1:1(例えば利益10Pips、損失10Pips)のルールでトレードをしていったとしたら、勝率が6割程度でも安定的にプラスになります。

ややこしくなるのでスプレッドは加味しませんが、トレードルール例です。

月にトレードを50回行ったとします。
利益20Pips損失20Pipsとします。
勝率は6割です。

勝率6割ですので、
勝ちトレード30回
負けトレード20回

となります。

20Pips×30-20Pips-20ですので、

+200Pipsとなります。

安定的に+200Pips稼げれば、FXは充分成功といえる域です。

少しだけ、トレードルールに優位性を持たせることができれば、FXはふつうに勝つことができるはずです。

ですが、実際にはなかなかそうはなりません
なぜでしょうか。

「良い負け方」を意識していない

良い負け方、良い損切りがあるというのをご存じでしょうか。

「負けることに良いも悪いもあるか!」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、良い負け方と悪い負け方は間違いなくあります。

良い負け方というのはどんな負け方でしょうか。

それは、ルール通りにちゃんと損切りをすることです。これが非常に、すごく、とても、大事です。(かなり強調)
逆に悪い負け方というのは、ルールを破った負け方をしてしまうことです。(損切りするのに躊躇したり、損切りの位置をずらしたり…)

はじめに「リスクリワード1:1、勝率6割」でも充分にプラスになるはずなのに、実際にはなかなかそうはならない…

なぜそうならないのか。それは、負け方が悪いからです。

「損切り」に対するイメージ

勝率6割とすると、50回トレードをするうち、20回ほど負けることになります。

これが「20回も負ける」という考え方だと、悪い負け方をしてしまう可能性が高くなります。
なぜかというと、損切りすることに対してネガティブなイメージを持っているからです。

損切りを良しとしない思考になっている、ということです。

こういった思考になっていると、勝った時より負けた時のインパクトの方が強いので、ルール通りに負けることができなくなったりします。

負けることに慣れないと悲惨な目にあう可能性も

悪い負け方の最悪のケースが、強制ロスカット、一発退場です。
FX会社から、強制的に負けを言い渡されるのでものすごく後味が悪い上に大損。最悪の負け方です。

しかし、FXで大損する人はだいたいこのパターンです。塩漬けからの強制ロスカット。コツコツドカンとも言われますね。

「負け」に対するイメージ

負ける、という言葉自体に、普通はあまり良いイメージを持たないと思います。
「負けるのって、なんか嫌だな…」
「勝つ方がいいに決まってる」
こういう風に思うのが常識的ではないでしょうか。

FXで負けた時の悔しさや怒りは2種類ある

勝負事、例えばゲームなどにしても、負けると悔しいですよね。
FXも、勝負です。お金が絡んでいなくても、例えばデモトレードでも、負ければ悔しさという感情がこみ上げてくるはずです。(真剣に取り組んでいれば、ですが)

そしてリアルマネーでのトレードとなると、負けたら実際にお金が減るという悔しさがあります。この悔しさはデモトレードとは比べ物にならないくらいの悔しさになるはずです。

上で示したように、負けた時の悔しさや怒りは、2種類あります。

  • お金を減らすことによる悔しさ・怒り
  • 自分の相場分析とは逆行したことによる悔しさ・怒り

ポイントは、悔しさ・怒りを感じるのは、お金を減らしたことによるものだけではない、というところです。

例えば、買いでエントリーしたとします。
エントリーした瞬間、相場は急降下したとしたらどうでしょうか。

「なんで俺がエントリーした瞬間にこうなるんだ!」という感情がこみ上げてくるんじゃないでしょうか。

FXで負けると、「お金を減らすこと」「自分の相場分析と逆行」の合わせ技(?)で、負の感情が増大するわけです。
この負の感情が蓄積されると、いつかはメンタルが崩壊してしまうかもしれません。

「負け」に対するイメージを変える

そうならないようにするためには、負けることに対するイメージを変える必要があります。

FXを行う目的は何でしょうか?
お金を増やすことですよね。
お金を増やすことですが、トレードは1回きりで終わるものでしょうか?
そうだとしたら、確かに、全てをかける思いで、絶対に負けないという気迫で、全身全霊のトレードをしなければならないかもしれません。(それでも負けるのがFXなのですが…)

ですが、そうではないはずです。
多くのFXトレーダーは、勝ち負けを繰り返し、トータルでお金を増やすことを目的としているはずです。

とするのであれば、個々のトレードにおける負け、ルール通りの損切りは、負けではなく、勝ちへの途中です。

損切りは防御

損切りをすることは、口座資産を守ることです。防御と言い換えることもできます。

RPGなどのゲームでも、防御をすればダメージを食らうことはあっても、ダメージ量を大幅に減らすことができたりします。

FXを巨大モンスターとの闘いと考えた時、隙を見て大ダメージを与え(勝ちトレード)、攻撃を受ける時は防御してダメージを減らす(負けトレード)という戦略で挑めば、いつかは倒すという目的を果たすことができそうです。(相場は倒すものではないですが)

言いたいことは、勝ちを積み重ねることができるのであれば、ドカンと負けることさえしなければ、残高は増えていく、ということです。

損切りを極めれば勝てるようになる

負けは負けとして、潔く負ける。それが次につながります。
負けることを恥だと感じてしまうと、「負けたくない」という感情から、潔く負けることが難しくなります。

潔く負けることは、資産を守ることになります。
リアルトレードでなくても、損切りの練習はできます。負けることに慣れるためにも、デモトレードを活用しましょう。